2008年3月16日日曜日

医療崩壊の責任者は?

日経メディカル・オンラインに本田宏先生の「勤務医よ、闘え!」のブログがありますが、3月13日付けの「医療崩壊はメディアの責任か?」は興味深い内容でした。http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/honda/200803/505722.html



本田氏はNPO法人ささえあい医療人権センターCOML(Consumer Organization for Medicine & Law、医療と法の消費者組織)のデータを引用して、日経・朝日・毎日・読売の4紙で『医療事故』をキーワードに検索した記事件数とCOMLの相談件数の推移は見事なまでに一致すること、医師・医療バッシング一辺倒だったメディアの報道が、2007年初ごろから少しずつ、医療崩壊の根底にある医師不足や低医療費についても扱うように変化してきたと感じていると述べられています。
もし医療事故報道が増加する前、あるいは増加しはじめた直後に、医療者が国民に「医療にも不確実性と限界がある」「日本の医療現場は、極端な低医療費とマンパワー不足のために事故が起きやすくなってしまっている」と分かりやすく説明し、国民も理解してくれたならば、ここまで医療崩壊や立ち去り型サボタージュが深刻にならなかったのではないか…と嘆かれておられます。 一方で、医療崩壊がこれだけ叫ばれるようになった今になっても、国会は道路特定財源の議論一色になっていることに危機感を持たれ、もっと国全体が、医療崩壊を阻止するために医療のあり方を真剣に考えよう、という流れになるように、医療者が一致団結して説明責任を果たすべきと結んでおられます。



結局、医療崩壊の引き金を引いたマスコミですが、炎上させたのはこの問題に無関心であった医師や政府側であったとも言えます。4月からの診療報酬の改訂の説明を聞いても、スポーツのルールがころころ変わるような印象を受け医師、特に開業医は日常診療に汲々とする傾向がさらに強まって、結果的に国民への啓蒙活動などやる暇がないのではと危惧します。