2008年5月4日日曜日

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代」

城繁幸氏の新刊「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代」を読みました。
城氏の著作は日本的成果主義の問題点を鋭く描いた 「内側から見た富士通「成果主義」の崩壊」、日本の年功序列制度の行き詰まりと若者の正規雇用の喪失の関係を明らかにした「若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来」に続いて3冊目を読んだことになります。



本書の中で特に印象に残ったのは、高校生における理系志望校の変化です。 東大、京大、早慶といった一流校全体への進学熱が下がって、代わって彼らが目指すようになったのが医学部で、地方国立大の医学部などは、既に偏差値で東大理工系を上回るケースも珍しくない、とのことです。
城氏は 「大企業はこの先割に合わないだろう、という事実を予想し、子供により良いレールを求めた結果、企業から医業へとシフトしているのだろう。 「おそらく金持ちになれそうだ。」というたった一つの理由のために、その他すべての可能性を捨ててしまうようでは、昭和的価値観と何ら変わらないのだ。医者というのはけして片手間にできるような仕事ではない。切った張ったが好きでない人間にとっては、けして幸福とは言えないはずだ。」と述べています。



これは身につまされる文章です。最近は患者のクレームで簡単にポキンと折れたり、肉体的にハードな外科系を志望しない若手医師が増えていますが、こういった背景があることを知りませんでした。自分自身の将来像を持っていない若手医師も多く、こういった若手に多様な生き方を示して目標と希望を持って仕事に励むことができる環境作りに力を入れたいと思います。



 



0 件のコメント:

コメントを投稿